寒暖差が引き起こす肌への影響…対策には動物由来成分が必須
医師が勧める乾燥シーズンのスキンケアと摂るべき食品
温暖化が懸念されながらも史上最大の寒波が到来するなど、寒暖差激しい今シーズン。春に向けての肌環境にも、ただ乾燥にさらされるにとどまらない、複雑な影響がありそうです。
冬から春に向けての乾燥肌・ゆらぎ肌対策におすすめのスキンケアやインナーケアは?
■ 乾燥肌のスキンケア、動物由来・植物由来、おすすめなのは?
インテグリカルチャー株式会社(本店:東京都文京区、代表取締役CEO:羽生雄毅、以下「インテグリカルチャー」)が2023年1月に全国の20代~60代の女性1000人を対象に、「乾燥肌対策をする際に選ぶスキンケア成分」を調査したところ、64.6%(646人)が植物由来コスメ、35.4%(354人)が動物由来コスメを選択するという結果となりました。
この結果に対し、医療法人康梓会Y'sサイエンスクリニック広尾統括院長で皮膚科医の日比野佐和子先生は、「特に効果的でパワフルな乾燥肌対策、そして、季節の変わり目のゆらぎ肌対策としては、肌の代謝を高め、保護機能をサポートする成分には、動物由来成分が多くスキンケアとしては、動物由来成分は必須です。肌につけるスキンケア剤もそうですが、食べ物などのインナーケアも、乾燥や寒暖差による肌ダメージの回復を助けてくれるようなものを意識することで肌本来のもっているチカラを守ってあげる一助になります」と話します。
この冬から春の肌をより健やかにするために選びたい最適なスキンケア、インナーケアを、皮膚科医の日比野先生に伺います。
■ 寒暖差が激しい季節の肌リスクとは?
夏は湿度が高く、汗や皮脂で肌が守られていますが、冬は空気が乾燥しやすいうえに汗もかかず、寒さで血液の循環が悪くなることで身体の各所に栄養素などがいきにくくなり、肌も乾燥しやすくなります。
寒暖差が激しいと、身体の毛細血管が炎症を起こす寒暖差アレルギーが生じますが、肌の調子にも影響が出てきます。寒暖差を繰り返すと寒暖差疲労が起き、自律神経系の機能の乱れが生じ、体調不良やじんましんがでたりするなど、皮膚の炎症も引き起こしやすくなります。
■ 乾燥肌対策の基本はしっかりと保湿すること
そんな寒暖差の大きい時期は、特にスキンケアの保湿をしっかり時間をかけて行うことが重要です。保湿の基本は、目の周りなどの皮膚の薄いところの摩擦を防ぎながら、しっかりと水分を補うことです。
乾燥していると、皮膚の表層もはがれやすくなりますし、肌のバリア機能が損なわれてしまうと炎症を引き起こしてシミになることもあります。また摩擦によって表層に傷ができることで、バリア機能がさらに低下します。すると外からの様々な刺激によって肌が反応しやすくなり、シミやシワ、たるみなど肌老化の原因にもなります。
外側から油分だけ塗っても保湿は充分ではありません。油分はふたするだけなので、油分を使用する場合はしっかりとした保湿成分の入っている美容液を塗ってから行いましょう。
特に、水分保持量を上げる実証がされているエビデンスデータのある成分が入っているスキンケア商品を使うのがおすすめです。
■ 動物由来の成分は人間の肌に合う
乾燥肌には、表層の角質層にあるセラミドや天然保湿因子(NMF)などの細胞間脂質といった水分保持量上げるものを補うことが重要です。
最近では、使用されている成分が動物由来なのか、植物由来なのかが問われることがありますが、スキンケア成分でいえば、基本的に人間の肌は動物性のほうが向いている側面があると考えられます。
スクワランなども動物由来のものが効果的であることがわかっているなど、人間の肌は動物性のタンパクを主に構成されており、動物性のほうが肌になじみやすく、皮膚への浸透性が高いことから保湿効果が高いといわれています。
動物性のものは良くないという考え方がありますが、動物性だからといってすべてが良くないとは言い切れないと思います。環境配慮や動物愛護への配慮がされている成分や製造方法もあるためです。
●おすすめの動物性由来のスキンケア成分
コラーゲン、セラミド、ケラチン、プラセンタ、スクワラン、馬油、CELLAMENT®(セラメント)、エミューオイルなどがおすすめの動物由来のスキンケア成分です。
スクワランは人間の肌を保護する皮脂膜の成分に非常に近いといわれており、サメの肝油など動物性由来のものが効果的です。馬油は、馬の皮下脂肪を原料としているもので、昔から日本では火傷やヒビ割れなどの民間薬としても使われてきました。飽和脂肪酸とともに不飽和脂肪酸も多く含まれ、人間の皮脂と成分構成を持つため、人の皮膚になじみやすいのが特徴です。
セラメントは鶏卵のプラセンタ様細胞(胎盤に相当する部分にある3つの細胞(羊膜・卵黄嚢・漿尿膜))を採取して培養したものです。卵よりもさらに豊富な成長因子を含んだ細胞培養上清液で、ヒト線維芽細胞の遺伝子発現パターンを成人期のパターンから新生児期のパターンに近づけるといったしっかりとしたエビデンスがある成分です。様々な動物の細胞にセラメントをかけると、細胞が活性化し、非常に速いスピードで細胞分裂が進むということがわかっています。この成分は昨年、世界で初めて日本のスキンケア製品に搭載され大きな話題を呼びました。現在、化粧品の動物利用に関連の深いものとして、“クルーエルティフリー”という言葉があります。この言葉は、「残虐性(cruelty)がない(free)」という意味からきています。細胞性食品を作る技術から製造されているセラメントはある意味、クルーエルティフリーだと言えます。そして、これからのサステナブルな時代に適していると考えられます。最近は、動物由来成分フリーといったヴィーガンコスメが増えていますが、人の肌に合った成分のほとんどは、動物由来です。環境に優しいとされる細胞性食品の製造技術のもと、セラメントも、鶏卵の細胞を培養することによって作られています。
エミューオイルは、大型の鳥エミューの脂肪を精製したオイルで、脂肪酸の構成バランスが人間の皮脂にきわめて近いといわれています。またオメガ3やオメガ6、オメガ9の不飽和脂肪酸が理想的なバランスで含まれています。
■ 肌の水分保持量を上げる食べ物で乾燥肌対策を
肌のバリア機能を正常に保つような食事も重要です。次のような食品や栄養素を意識的に摂りましょう。
●セラミド入り食品
肌の弾力性、水分保持量を上げるセラミドが入っている芋こんにゃくはおすすめです。セラミド入り美容ドリンクなども良いでしょう。
●発酵食品
腸内環境整えることで、肌の調子も整います。ヨーグルト、納豆、チーズなどの発酵食品には、善玉菌である乳酸菌が豊富に含まれます。善玉菌の餌となる食物繊維やオリゴ糖などと一緒に摂るのもおすすめです。
●タンパク質、必須脂肪酸、ビタミンA
肌の保湿力を高めるために、タンパク質、必須脂肪酸、ビタミンAを摂りましょう。
●ビタミンB群
肌の代謝を正常に保つには、ビタミンB群が重要です。皮脂成分の代謝に関係している成分はビタミンB2やビタミンB6です。ビタミンB2は卵や肉や魚、乳製品など動物性の食品に比較的多く含まれています。ビタミンB6はにんにく、ごま、玄米などに多く含まれるといわれます。
●ビタミンC
コラーゲンを産生するビタミンCもおすすめです。
具体的な食品としては、卵が最もおすすめです。卵にはビタミンCと食物繊維を除く、バランスよく肌に必要な栄養素が含まれています。卵と一緒に、野菜を摂ることが推奨されます。他に大豆も女性に不足しやすい女性ホルモンの強い味方であるイソフラボンも摂取でき栄養的に良いですし、オメガ3などの体に良い不飽和脂肪酸を含む魚もおすすめです。
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